悲しみのバンクーバー~古川夏好さんの死を悼む


カナダに来て3日目、

温泉を離れる朝に、ほんの一瞬晴れ間が見えた。

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(ホテルの部屋の窓から見えた湖: Harrison Lake)



朝食後、次の旅先バンクーバーを目指した。

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Harrison Hot Springsを出てから2時間弱、

近代的な吊橋を渡ると、そこはバンクーバーだ。




バンクーバーは今回で4回目、

前回来たのは数年前で、夫と息子が一緒だった。




その時バンクーバーでは、冬季オリンピックが開催されていて、

私達は女子フィギュアスケートのショートプログラムを見に来たのだった。

浅田真央、ミキティ、イタリアのコストナー…華やかな競技を堪能した後、美味しい中華料理を食べた。





今回はその時とは全く違う、重い気持ちでバンクーバーにやって来た。

今年9月にこの町で行方不明になり1週間後に遺体で発見された、

古川夏好(こがわなつみ)さんのことを考えていたからだ。




亡くなった場所の具体的な住所は知らないので、

直接その場所を訪ねることはできなくても、

せめてこの町で、彼女のご冥福をお祈りしたいと思っていた。




真面目で頑張り屋さんで一生懸命英語を勉強していた夏好さん、

英会話クラブで知り合った犯人の毒牙にかかり、殺害された。




夏好さんが、SNSを通じてその英会話クラブに入会されたということで、

「軽々しい、自業自得だ。」等と彼女を責めるようなことを言う人がいるが、

果たしてそうだろうか?




インターネットに囲まれている今の時代、

いろんな情報を得るのに、各種ホームページ、ブログ、フェイスブック等

SNSを使わない人のほうが少数派だと思う。



 
そして青森県(夏好さんの出身地)に生まれて育ったなら、人を疑うことに慣れてないかもしれないし、

ましてや、ネイティブスピーカーである犯人は、英会話クラブでは先生のような立場だったのだから、

夏好さんが彼(実はとんでもない前科者)を信じてしまったのも無理がない気がする。




罪のない人が無残に殺されているのに、その被害者に対して

「死者を鞭打つ」ような言葉は、私には到底理解できない。




今でこそ私はアメリカに住んで、英語を学ぶ環境に不自由してないが、

こうなるまでは、独学でコツコツと英語を勉強しながら、

ネイティブスピーカーと喋れるチャンスがなくて、いつも苦労したものだ。




…無料英会話クラブで一生懸命勉強していた夏好さんに、自分の若い頃の姿が重なる。







さて今回のバンクーバー旅行では、ダウンタウンのDavie St.という通りにある

Best Westernのチェーン店"Sands Hotel"に泊まっていた。

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(Best Western/Sands Hotel)





2日目の夜、予約していた日本食レストランに行くために、

夫と二人でホテルを出て、左側方向に歩き始めた。



(Davie通りは、それまでに街の散策やなんかでもう何度も歩いたが、

いつもホテルを出て右側方向に歩いていたので、左側方向を歩くのはこの時が初めてだった。)

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(ホテルの窓から見えたダウンタウンの夜景)




僅か1分歩くか歩かない場所で、暗い空に突然、

大きな灰色の家が浮かび上がったので、ビックリして立ち止まった。




インターネットのニュースで見た「あの家」にそっくりだったからだ。




夏好さん殺人事件の詳細を知らない夫は、ずんずん先を歩いていくので、

私は慌てて彼の後を追いかけたが、

レストランに着いて食事をしている間も、その家のことが気になって仕方がなかった。




レストランからホテルへの帰り道では、夫に事件の話をして、

先程見た大きい灰色の家の前で、一緒に立ち止まってもらった。




そして、門の辺りをよく見てみると、

ひっそりと置かれた数本の花と(乾電池式の)キャンドルが、冷たい雨に濡れていた。

…そこは間違いなく、「あの家」だった。



カナダ・行方不明女性が発見された場所
(その時カメラは持っていましたが、写真を撮ることは思いつかず、
後からこの画像をお借りしました。)




暗くて、異様に大きい灰色の建物が不気味に見えるが、

家の前の歩道は人もたくさん歩いていて、結構賑やかだ。




…こんなところで、孤独な、あまりにも惨い最期を迎えないといけなかった夏好さん、

助けに駆けつけてくれる人はいなかったのか?

それとも、助けを求める叫び声も上げられない状況だったのかもしれない。




どんなに怖く苦しく、そして無念だったことだろう。

…思わず手を合わせた。




「安らかにお休みください。そして、こんな悲惨な事件が2度と起きませんように…」




英語を身に着け、海外に住むことが長年の夢だったという夏好さん、

一生懸命働いてお金を貯め、やっとバンクーバーまで辿り着いて、

夢の出発点に立ったばかりだというのに…




こんなことがなかったら、夏好さんは今でもこの町で熱心に英語を勉強してらしたことだろう。

明るく誰にも優しかったという彼女には、幸せな未来が待っていたと思う。

私の2人の娘達よりまだ若い夏好さん…可哀そうでならない。





そしてそして…この記事をお読み下さっている女性の皆さま、

海外に出たら十分過ぎるほど気を付けて、本当に気を付けて…何が何でも自分の身を守って下さい。




人を疑ってばかりいる人生はつまらないと思いますが、

人を信じ過ぎて、命を落とすことになってはいけません。

善良で優しい日本女性を騙したり、餌食にしようとする輩はウヨウヨいるのです。






今日は悲しい記事をお届けしましたが、
皆様が幸せな一日をお迎えされるよう、いつも願っております。

ミモザ


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by mimozacottage | 2016-12-08 03:50 | 旅行(カナダ) | Comments(14)
Commented by lanova at 2016-12-08 07:11
この国に住み始めた時、Don't trust anyoneを肝に銘じて置くように言われました。
何と寂しいことかとその時は思いましたが、そう思わざるを得ない場面に何度も遭遇し、そのたびにこの国に落胆してきました。
でも、本当はポジティブな面を見たいんですよね、だれだって…
Commented by mimozacottage at 2016-12-08 08:40
> lanovaさん

私はアメリカではそういう場面に遭遇しないでここまで来ていますが、
信じられないくらい酷いことをする人がいるので、
常に身を守ることを考えていないといけませんね。

でもやっぱり基本は人を信じています。
悲しいことや辛いことを乗り越えようと決意して、この国にやって来たので
これからもできるだけポジティブに生きていたいと思っています。


Commented by さくら at 2016-12-08 08:58 x
娘を持つ親として ご両親のお気持ち 察するに余りあります
日本でもこう言う事件は多いのです
独り暮らしをしているけれど そこだけはしっかり
注意するようにいつも言っていますが
心配はやはりありますね
独りの心細さを利用して、はじめからそのつもりで
のぞまれたら、防ぎようはないと思います
目をつけられないように祈るばかりです

人間はこの世で一番怖い生き物
でも 自分も人間
そして 好きな人もいっぱいいます
あれこれ言っても環境が平和で、ある程度の暮らしができている
それを心にいつも留めておきたいですね
そして 余裕があれば少しでも、善い行いをしていきたい

考える機会を頂きありがとうございました
 
Commented by mimozacottage at 2016-12-08 10:36
> さくらさん
> さくらさん
こちらこそ長い記事を読んで頂きありがとうございました。
この事件は最初から気になっていて、
できることなら一緒に探してあげたいと思ったので、
遺体発見のニュースはショックでした。
娘さんが一人暮らしを始められて、
自立を応援しながらも、心配は尽きないですよね。
よくわかります。
でもよく気を付けていれば、事件や事故の多くが防げるものなので、
本人の希望や意志をいたずらに否定するのはよくないとも思います。

>人間はこの世で一番怖い生き物
こんな事件や戦争のことなどを思い浮かべると、その通りですね。
でも信じられないほど思いやりに満ちた人もいますね。
だから、生きていたいと思うし、
この世の中が少しでも良くなるように
私も何かができたらいいなと思います。
こんなお話が一緒にできるさくらさんとお知り合いになって、
とても嬉しいです。
Commented by waratah. at 2016-12-08 14:13 x
写真では穏やかな景色ですが 人が起こす出来事で暗黒にもなるのはどうにかならないものでしょうか、個人個人が理性を心得て生きていれば事件を起こすのは防げるような気がするのですが、この事件知っています。こちらでも大きく放送されていました。昨日のコメントのお返事削除されたのですね。書き写しておけばよかったと思いました。とても素敵な言葉を戴いて私の人生の宝ものに致します。
Commented by mimozacottage at 2016-12-08 14:39
> waratah.さん
コメントありがとうございます♪
その通りです。バンクーバーはとても美しい町で大好きなんです。
だから余計こんな事件が起こったのが悲しいです。
誰かのちょっとした不注意で、人生を変える大事故に巻き込まれたり、
たった一人の理性の無さで、多数の人の人生を暗黒に導くことがあります。
人間って、とても脆い存在ですよね。

コメントは削除していませんよ~。
私に頂いたコメントが非公開の設定になっていたので、
返事も非公開の方がいいかもしれないと思って、
あとで非公開にし直しただけなんです。
Waratahさんだけには読めるはずなのですが、読めてないようなので、
今から公開にし直しますね。
Commented by Ray at 2016-12-08 15:33 x
びっくりしました。というのも、
ミモザさんの今日の記事、最初にタイトルを読まないで、文章を読み始めたのですが、
実は私も昨日、亡くなられたとすでに報道された夏好さんのことを思い出して、
彼女の失踪が発覚した直後に捜索の手がかりを求めていたフェイスブックのページを再度訪れました。

すると、昨日の前の晩でしたが、テレビで彼女の事件を取り上げる番組が放映されるというお知らせが書かれてありました。

それから、その番組に合わせるように、そのページにご両親からの言葉が綴られていて、
とてもお辛い様子と共に、無数の人たちが捜索を手伝ったり、ご家族を支えたことに対する感謝の気持ちを述べられていて、何とも言えない悲しい気持ちになりました。

亡くなられた日、朝から起きて机に向かい英語の勉強をしていたことが書き記されていたそうで、
本当に本当にあってはならないことが起こってしまったと思います。

夏好さんのご冥福を深くお祈りすると共に、ご家族の悲しみがいつか癒されますようにと祈るばかりです。
Commented by nik-o at 2016-12-08 23:38 x
そのニュースは日本でも大きく取り上げられました。無事であることを願ってましたが悲しい結果でしたね。
私も仕事で海外は3か国ほど住みましたが、アメリカでは旅行中の荷物を盗まれたり、イギリスでは駐車場の車からステレオを盗まれたり、小さな出来事はありましたが大きな事件もなく無事に過ごせました。それでも、確かに今考えてみるとあの時は危なかったという思い出がいくつかあります。日本以上に危機意識をもって過ごさないといけないのは確かですね。
でも海外に住んで、それ以上に思ったことは、人はみな同じ。楽しいときには笑うし、悲しい時には泣くし、その気持ちはみな同じ。同じ人間なんだ、お互い変わらない人間同士なんだ。と言う思いを強く持ちました。お互いもっと理解しあって信じあって、と言う思いを強く持ちました。
みんな日本人とか、アメリカ人とか言う前に同じ地球に住む地球人なんですよね。そんな思いを大切にしたいです。
そんな時にトランプ誕生、大丈夫なのでしょうか?
Commented by ☆ Rilla ☆ at 2016-12-09 09:42 x
古川夏好さんの事件は、鮮明に覚えています。
偶然、彼女の事件現場となった所を見られたのですね。

私の周りにも国際結婚をされた人がいぱいいて、
スイス在住の友人なんかは、バンクーバーに英語を習いに行った時に知り合ったスイス人と結婚。
私も彼とは何度かお会いしましたが、家庭的で仕事もできる素敵な男性です。

彼女がラッキーだったのか、古川夏好さんが出会った人がたまたま悪い人だったのかは分かりませんが、
基本的に、私はバンクーバーが大好き♪
夫と二人でウロウロしていて、親切な方にいっぱい出会えましたから。

私の長女も一人暮らしをしているので、時々不安になりますが、
「取り越し苦労はよくない」って、自分に言い聞かせています。
基本的には、人を信じて生きたいでむものね。

Commented by mimozacottage at 2016-12-09 12:47
> Rayさん
Rayさんも私と同じく20代で英語の独学を始められたから、
英語を独学することの大変さをご存じだし、
古川夏好さんの無念さが理解できますよね。

私夏好さんのことは他人事とは思えず、
亡くなった後もずっと心の中にズシンと残っていて、
夫に旅行先の希望を聞かれた時「バンクーバー」と答えました。

とは言え、無闇に人のプライバシーに
足を踏み入れることになってもいけないと思って、
町の中でそっとご冥福をお祈りするつもりでやって来たのですが、

事件のことをほとんど何も知らない夫が予約したホテルが
なんと夏好さんが亡くなった家の極至近距離だったのです。

そうですか…最後の最後まで頑張ってお勉強されていたんですね。
そしてたくさんの人が捜索に加われて、
ご両親を支えられたとお聞きして…せめてもの慰めです。

本当にご家族の人にはいつかこの悲しみを乗り越えてほしいですね。
優しいコメントをありがとうございました!
夏好さんを卑しめるような心無い人の言葉が
私の胸にも突き刺さっていたのですが、
Rayさんのコメントで少し楽になりました。

Commented by mimozacottage at 2016-12-10 13:04
> nik-oさん
Nik-oさんはアメリカだけでなく
いろんな国でお仕事をされていたのですね。
洗練されたジェントルマンのイメージはそんなご経験から来るのですね、
私はオーストラリアで危機一髪の経験があり、
一晩で白髪になりそうでした。
その時日本と同じ気持ちではダメだなと思いました。

地球人…似てますね~!
実は私も「何人?」とか「どこの国から来たの?」と聞かれると、
自分が一番好きな答えは「地球人」なんです。
地球が生まれた時、国や国境などは無くて、後で人間が作ったものです。
なのにそれを巡って、争ったり他民族を排斥したり…
どうして同じ人間同士がいがみ合わないと いけないのだろう?
とバカらしく思います。

Nik-oさんや私が持っている「同じ地球人」の意識と
トランプの世界観は対極の位置にありますね。
いろいろ考えると怖いですが、
取りあえずは希望を失わず前に進もうと思っています。
Commented by mimozacottage at 2016-12-10 13:05
> ☆ Rilla ☆さん
そうなんです。Rayさんのコメントにも書きましたが、
この町で夏好さんのご冥福をお祈りしようと
バンクーバーにやってきたのですが、
亡くなった場所を特別に調べたりはしないで、そっとお祈りするつもりでした。
そしたら、自分が泊まっていたホテルの極至近距離に
現場があったので本当にビックリしました。

そうとおりですね。運と言ったらいいのか?何と言えばいいのか…
同じ場所で同じようなことをしていても
どんな人と出会うかで、
その後の運命がガラッと変わることがありますね。

私もバンクーバーが大好きです。
だから余計この事件は無念であり、
こんな悲惨な事件は2度と起きてほしくないです。

海外に住んで日本では起こりえないことにも出くわしたので
特に女性の方には危機感を持って生活してほしいと思いますが
私は基本的に人を信じています。
そうじゃないと、生きていて面白くないですから…
Commented by かまた at 2017-10-12 15:41 x
古川さんの事件はネガティブに語られることが多かったので、このように熱心にご意見されてるのを見て嬉しく感じました。

(以降適切でない場合削除して下さい)

私は古川さんの専門学校時代(19,20)の同級生なので正直最初にテレビに彼女の顔が出てきたときは「   えっ?!」という衝撃でした。あのなっちゃん?顔も当時のままですからね本当に。それが殺害となっていたので、一瞬わけがわからなくなりました。そんなこと今までなかったので、知り合いが殺されてしまうというのは。
そして色々情報を探そうとしましたがネガティブなものばかりだったので知らず知らず探す気力もなくなってしまいました。

今回のような記事は彼女のためにも、彼女を知らない読者のためにも非常にいいものだと思います。私も機会があれば一度バンクーバーに行って弔いができればいいなと思っています。


そして、どこにいても、古川夏好は永久に笑顔で眠っていると思います。
Commented by mimozacottage at 2017-10-13 02:36
> かまたさん

かまたさん、初めまして。
夏好さんの同級生の方でいらっしゃるのですね。
記事を読んで、コメントまで頂き、
本当にありがとうございました!

事件そのものは言うまでもないですが、
その後の心無い人々の意見には、ご遺族の方々はもちろん、
夏好さんのお友達やお知り合いの方も、
相当傷ついておられると思います。

何の罪もない若い女性が無残に殺されたと言うのに、
なぜそんな冷酷なことが言えるのだろう?と、
私もショックでした。 死者を鞭打つような言葉は許せないです。
彼女の無念をほんの少しでも晴らしたくて、この記事を書きました。

本当に夏好さんの笑顔は素敵ですね!
今日、かまたさんからお話を伺えて、
改めて夏好さんのことを考え、
益々、素晴らしい女性だったのだと思いました。

もし、バンクーバーに来られるようなことがあれば、その時はご連絡下さい。
(コメントを非公開にすることもできます。)
何かお手伝いができるかもしれません。
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