義母の魔法の言葉



昨日夕方、バンクーバー島旅行から帰ってきました。まだ旅行記を書いている途中ですが、

今日は「母の日」に因み、ずっと書きたかった義母の思い出を書こうと思います。



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夫と私が結婚したのは13年前の7月だから、8年前亡くなった義母との付き合いは僅か5年、

その間ずっと別々の州に住んでいたので、それほど深い付き合いではなかったが、

今思い出しても心が温かくなる思い出が沢山ある。


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(195X年、夫が1歳半の時の義母と夫)



義母と最初に会ったのは私達の結婚式の前夜、

家族と結婚式の証人だった夫の元上司夫妻だけを招き、レストランでディナーパーティをした時だった。




当時、義母が住んでいた州からワシントン州への直行便はなかったので、

義母は前日の朝3時半に起きて家を出発、途中で飛行機を乗り換え、夕方頃にシアトル空港に着いた。

その時84歳だった彼女は、義弟とお嫁さんに支えられ、杖を突きながら遠路はるばるやって来てくれたのだった。




初対面の前夜、私は緊張のあまり一睡も出来きず、

パーティの時にどんな人と話し、どんな言葉を交わしたかとか、全く覚えていない。

結婚式当日、義母は式の始めから終わりまでずっと涙を流し続けた。



彼女は誰とでもすぐに打ち解けるような人ではなかったが、式が終わった後で涙ながらに私の手を取って、

「息子を幸せにしてくれてありがとう!」「あなたはとても美しいわ。」「あなたのことが大好き。」

と言い、しっかり抱きしめてくれた。



私は元義母(前の結婚で義母だった人)のことが好きだったが、

彼女の方は、私(ミモザ)のことが嫌いとはっきり言うような人で、

そのことで随分傷ついた過去がある。



だから、今の夫と結婚する時、

「最低限の付き合いはしても、私の方からは絶対義母を好きになったりしないでおこう。」と

心に固く決めていた。



それなのに、

向こうの方から先に、「あなたのことが大好き」と言われ、戸惑った。

義母の言葉は、まるで魔法のように心の中の冷たい氷を溶かし、私は本来の自分を取り戻した。



それから2年後、義母は脳梗塞で倒れ病院へ運ばれた。



その時近くに住んでいた義弟夫婦の話によると、

義母は幸い一命はとりとめたが、右半身と口に麻痺があって言葉がちゃんと出てこないし、

頭もぼんやりしているようで、支離滅裂な行動を取るらしい。



翌日、朝一番の飛行機で夫と私は義母の病院へ向かった。飛行機の中で私は考えた。

「お母さんがそんな状態なら、私の顔を見ても誰かわからないかもしれない。

私を見て、『この東洋人は一体誰なの?』と他の人に聞くかもしれない。

そうだったとしてもガッカリせずに、できるだけのことをして上げよう。」



私は夫の姉や弟妹の配偶者の中で、最後に義理の家族になった。

知り合って一番日が浅いし、その間あまり会える機会もなかったので、

脳梗塞を患った義母が私のことを忘れてしまっている可能性は十分あり得る。



病室に入ると、2人の義姉(メグ姉さんとジョー姉さん)がいて、義母の足をマッサージしていた。

義母は私の顔を見るなり涙を流し、不自由な口で何かを一生懸命喋ろうとする。

私が誰なのかはっきりわかるようだった。



唸るような濁声の後、絞り出すように「あなたが大好き。」と言った。

言葉はすごく不明瞭だったので聞き取りにくかったが、口の動きで何となく言ってることがわかった。



メグ姉さんが横から、「母はあなたのことが大好きだって言ってるのよ。」と私の理解を助けてくれた。

その後、「あなたは美しいわ。息子を幸せにしてくれてありがとう。」(*私はちっとも美人ではありません💦)

結婚式の時だけでなく、それから後も、いつも会うたびに言ってくれた魔法の言葉を

一生懸命、絞り出すような声で言われて、私は涙が止まらなくなった。

夫も傍で涙を拭った。



義母はその後、介護付き高齢者ホームに移り、夫と私は時々会いに行った。

山やバラを愛した義母を山の裾野やバラ園へ散歩に連れ出すと、

義母は子供のように目を輝かせて喜び、後で嬉しそうに、そのことを夫の姉2人や弟妹達に話したという。

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(2008年12月、義母と私)



義母は3年足らずを高齢者ホームで過ごした後、静かに旅立った。

残された義母の部屋には、子供や孫の写真が一杯壁に飾ってあったが、

私達が新婚旅行の時に撮って義母に送った写真は、美しいバラ模様の白い額に入れて飾ってあった。



私は彼女の言葉を心の額縁に入れて、一生の宝物にしている。




それでは皆様…誰かのお母さまである方もそうでない方も、

良い母の日をお迎え下さいね!




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ありがとうございます。

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by mimozacottage | 2018-05-13 05:26 | 家族
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