2018年 01月 05日 ( 1 )

「赤毛のアン」の島5~アンとモンゴメリ


モンゴメリの従兄半(従兄弟の子 ”従兄弟違い”とも呼ばれる)ジョンさん*に別れを告げ、

ジョンさんの奥様、ジェニーさんが経営される本屋さん(ウエブサイト→モンゴメリの家)へ向かいます。

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手入れの行き届いた芝生と可愛らしい花が咲く庭、

爽やかな気分で散歩道を歩いて本屋さんに着きました。

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本屋さんの素朴な建物は、元はモンゴメリの祖父が経営していた郵便局でした。

祖父が亡くなった後、モンゴメリは祖母のアシスタントとしてここで働きました。


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この建物で本屋さんを経営するジェニーさんは毎日休まず、

訪問客に向けてモンゴメリの生涯について話をされています。(冬場は予約がいるそうです。)

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(ジェニー・マクネイルさん)



この箱はモンゴメリが働いていた当時のまま保存されている郵便箱で、

「赤毛のアン」をはじめ、初期のモンゴメリ作品の原稿は全部この中に投函されました。



「赤毛のアン」は出版されると同時に熱狂的に迎え入れられ、モンゴメリは一躍世界的な有名作家になりましたが、

出版に漕ぎつけるまでの道のりは厳しく、原稿は何度も出版社から送り返されたのです。



自尊心の強いモンゴメリがそれでも諦めず、原稿を送り続けたのは、

郵便箱の仕分けをする仕事が彼女自身であったため、村の誰にも知られることがなく、

出版社から返された原稿を受け取り、また別の出版社に送ることができたからだそうです。



上の写真は、ジェニーさんがちょうどその話を説明されている所です。


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(郵便箱の横のガラスケース: 人形のアンとダイアナがお茶をしている)




「赤毛のアン」の主人公アン・シャーリーは作者モンゴメリの分身だったと言われ、二人には多くの共通点があります。

幼くして親を失ったこと(モンゴメリの場合は1歳9か月で母を亡くし、父は幼い娘を祖父母に託す)、

色々な逆境を想像力で乗り越えようとしたこと、



アンが優秀な成績で学校を終えたように、モンゴメリも優秀な成績で学校を終え教師になりました。

アンが男性に人気があったように、モンゴメリにも幾つかのロマンスがありました。



厳しいながらも愛情深くアンを育てるマリラは、モンゴメリを育てた祖母がモデルだと言われていますが、

アンがマリラを大切にしたように、モンゴメリも祖母を大事にしました。

自分の結婚よりも彼女との生活を優先させて、祖母が亡くなるまで独身を通したのです。

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(ルーシー・モード・モンゴメリ:
Borrowed Image from Lucy Mode Montgomery Cavendish Home)



しかしながら…アンとモンゴメリの大きな違いは、その後の結婚生活です。

幼馴染のギルバートと結婚して幸せな家庭を築いたアンと違って、モンゴメリの結婚は幸せではありませんでした。



モンゴメリが35歳の時に結婚した夫、ユーアン・マクドナルド牧師には深刻な精神疾患がありました。

長時間虚ろな目で宙を見続ける彼は仕事や家庭の責任が果たせず、

モンゴメリの肩にすべてがかかった上、



彼女や子供の人格を否定する発言を繰り返したり、

薬局の投薬ミスをモンゴメリのせいだと思い込み、彼女を殴打する等DVもあったそうです。



鬱病の夫ユーアンの世話をしているうちにモンゴメリ自身も鬱病を患い、

睡眠薬や抗うつ剤を常用するようになりました。

1942年4月24日、モンゴメリは家族に許しを乞う手紙を書き残し、ベッドで亡くなっているのが発見されました。



駆けつけた2人の医者(うち1人はモンゴメリの3男スチュアート、もう1人は地元の医師)の所見によれば、

薬物過剰摂取による自死だったのですが、

遺族の心情を慮った地元医師が別の病名(冠状動脈血栓症)を診断書に書き、検視は行われなかったそうです。



出版社に印税を騙し取られて訴訟になったこと、二つの世界大戦や大恐慌、スペイン風邪の流行等、

モンゴメリの周辺には、心労になる原因が少なからずあったようですが、

一番の原因は、夫ユーアンとの不幸な結婚生活だったと言われています。



モンゴメリは人前で家庭の悩みを一切口にせず、いつも微笑みを絶やさなかったそうです。

自分の悩みを誰にも言えず、助けも求められず、

たった一人で悩んで、心労を深めていったようです。

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(世界中から集められたアンの本が展示されている棚)



私は長い間憧れ続けた作家のあまりに悲しい最期を聞き、

胸が押しつぶされそうでした。

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夫と私は、来る時とは全く違う重い足取りで本屋さんを出て、来た道を戻りました。

モンゴメリが愛した庭には、英語とフランス語でこんな言葉が書かれています。



「喜びをもたらしてくれる私の庭…私は花の中でダンスしているわ、一番愛らしい花が沢山咲いている中で。

私の一番の楽しみは朝、庭に出て、夜の間に蕾が開いた新しい花を見ることなのです。

ルーシー・モード・モンゴメリ」


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人一倍命を慈しみ、生きていることの喜びや美しさを世界中に伝えた作家が、

自らの手で命を絶つことになった皮肉、理不尽さ、やるせなさ…

重い心で私達はアンの家の前を通り過ぎ、宿泊先のロッジに帰りました。


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アンの島6(最終日)に続きます。


*アンの島4の中で、私に温かい言葉とハグを下さったジョン・マクネイルさんは昨春お亡くなりになり、
奥様のジェニーさんと息子のデビッドさんが住居跡を管理しておられるそうです。

*ジョンさんはモンゴメリの従弟さんではなく、ジョンさんのお父様とモンゴメリが従兄妹同士でした。
訂正してお詫びします。



それでは皆様、幸せな一日をお過ごし下さいね!


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ありがとうございます。


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by mimozacottage | 2018-01-05 04:15 | 赤毛のアン