2018年 05月 10日 ( 1 )

可哀そうなピアノ: ワシントン州アナコータス


カナダ・バンクーバー島の旅、

1日目は、フェリー乗り場がある港町・ワシントン州のアナコータスに向かう。



バンクーバー島行きのフェリーは、朝8時30分にアナコータスから出発、

出発の1時間前(7時30分)までにフェリー乗り場へ着かないといけないので、

当日、朝早く起きて出発するより、

1日前に家を出て、フェリー乗り場近くのホテルで1泊することにした。




アナコータスはワシントン州の北端近く、カナダ国境まで約1時間のところにある。

ワシントン州内の島へ行くフェリーがいろいろ出ているので、今まで何度となく来たことがあった。

フェリーに乗るために立ち寄るだけだが、何となく趣きがあって、街をぶらぶら歩くのも楽しい。

f0359879_09254647.jpg


入り江に停泊するボートやヨット、カモメの鳴き声が旅情を誘う。

「カモメの鳴き声って悲しいね。」夫は言う。

ちょうど私も同じことを考えていた。




f0359879_09312347.jpg


私達が泊るホテルは古いが、綺麗で雰囲気があった。

部屋には古めかしいオイルヒーターや鎧戸の窓、奥の方には小さなキッチンシンクがあって、

フロントで挽いてもらった豆でコーヒーを淹れることができたのも嬉しい。

f0359879_08244736.jpg


ロビーの壁はギャラリーになっていた。

地元の高校生や大人のアート作品が展示されていて、中でも私の目を引いたのは、

本物の卵に色とりどりのビーズを施してある精巧なビーズアートだった。


f0359879_01450984.jpg

チェックインを済ませたあとは街を散策、

アンティークショップを覗いたり、静かな住宅地を夫と手をつないで歩いた。


f0359879_01445874.jpg

街路樹の「金鎖」が花盛り

f0359879_01444658.jpg


ガーデニング好きの人が住んでいそうな小さな家の前庭、

(古い一輪車の中に作られた)ミニチュアの庭が置いてあった。

こんな遊び心のある庭っていいな~!

f0359879_08261561.jpg


ホテルの筋向いの歩道には備え付けのピアノがあり、誰でも自由に弾けるようになっていた。

太陽に晒されて、ピアノらしい光沢も威厳もすっかり消え失せ、

もはや、美しい音を奏でる楽器ではなくて、通りを歩く人々の落書き用の黒板と化している。



街角に打ち捨てられたようなピアノでも、

それに命を吹き込む「ピアノマン」のような人が何処からともなく現れて、

名演奏を聴かせてもらえるのでは?と勝手な妄想を膨らませながら、チラチラ見ていたが、

実際に見たのは、滅茶苦茶にピアノのキイを叩いて通り過ぎる子供達だった。



乱暴に叩かれた音を聞くと、ピアノが可哀そうに思えた。

私はピアノの超超超初心者だけど、可哀そうなピアノを見ていると何だかウズウズしてきて、

一生に一回、そして一瞬だけ、「街角のピアニスト」になってみたくなった。



もっとピアノの練習をやっておけば、少しは格好がつくのに…と思いながら、

ずっと昔に習ったブルグミュラーの『アデュー(永遠にさようなら)』をほんの触りだけ、小さな音で弾いた。

誰もいないと思ったのに、立ち止まって聴いている人がいて、恥ずかしくてそれ以上は弾けなくなった。

身の程知らずとはこのことだ。



「もっと練習してから、またここに来て、その時に弾かせてもらうからね。」

心の中でピアノに言い訳をしながらその場を離れた。


f0359879_01443332.jpg


夕食はビール醸造所直営のパブRockfish Pubに行った。

料理に少し時間がかかると言われたので、ハンドバッグから文庫本を取り出した。

旅をしながら読もうと持って来た日本語の本5冊の中の一冊だ。



フェリーの待ち時間やレストランの待ち時間など細切れの時間に少しずつ読んでいる。

本物の旅をしながら、本を広げてもう一つ別の空想の旅をする。

何という贅沢な時間だろう。




それでは皆様、幸せな一日をお過ごし下さいね!


読みに来て下さる方にいつも励まされています。
ありがとうございます。

にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
にほんブログ村








[PR]
by mimozacottage | 2018-05-10 09:12 | 旅行(アメリカ)